テレワーク時代に必須のスキル、セルフマネジメント力(自己管理能力)

これまで、この「ONthe総研」では、テレワーク(リモートワーク)に関連する情報を発信してきました。在宅勤務など、会社ではなくリモートで仕事する際に、生産性に大きく影響するのが従業員の「セルフマネジメント力(自己管理能力)」です。
多様で柔軟な働き方が普及すればするほど、一人ひとりの自己管理能力が重要になってきます。また、企業も従業員任せにせず、勤怠や就業状況など、これまでとは違ったテレワーク時代の新しい労務管理の手法が求められます。今回はそんな自己管理についての情報をまとめました。

テレワークは自己管理が難しい

多くの従業員の方が既にテレワークを経験されていると思いますが、皆さんちゃんと自己管理出来ていますか?いつものオフィスワークと違って「通勤電車の時間を気にしなくていい。」「好きなだけおやつを食べながら仕事ができる。」「ずっとスマホを触ってても怒られない。」在宅など、上司やリーダーのいないリモートでの作業は誘惑がたくさんあります。誘惑に負けて、自己管理の難しさを痛感している人も多いのではないでしょうか。

ついつい怠けてしまう

在宅勤務やカフェなどでは、リラックスして仕事が出来るのがメリットです。しかしその反面「緊張感がなく、オフィスと同じように集中して仕事をするのが難しい。ついつい怠けてしまう。」そういった声をよく耳にします。生産性が低下してしまうと、残業時間の増加や、品質にも影響が出てしまいます。どうしても怠けてしまう人は、モチベーションを高く維持するための工夫や努力が必要です。また、企業としてもしっかりと労務管理をする必要があるでしょう。

従業員の働きすぎ

真面目な日本人の気質のせいか、実は「働き過ぎてしまう」ということもテレワークのデメリットとしてよくあげられています。政府が推進する「働き方改革」の影響もあり、最近は長時間労働を厳しく規制し、残業時間の削減に取り組んでいる企業も多いです。オフィスであれば、残業する時は申請が必要で、定時を過ぎると早く帰るように促されます。しかし、テレワークであれば、上司のチェックがなく、オフィスの使用時間の制限を気にする必要もありません。好きなだけ仕事が出来てしまうので、真面目で責任感が強い人ほど長時間労働になりやすいと言えます。

企業の課題、テレワークの労務管理

時間や場所に捉われず、柔軟な働き方をするテレワークでは、これまでの会社で働いていた時と同じように労務管理をしていればいいというわけにはいきません。従業員を信頼することは良い事ですが、従業員の自己管理能力に任せっきりにも出来ません。これからもどんどん多様化していく働き方に、企業や責任者はどう対応するべきか?従業員に最適な働き方を提供しつつ、コスト削減や、効率化、生産性の向上を実現できる取り組みを考えていく必要があります。

従業員の勤怠管理が難しい

従業員が同じ職場で働くのとは違い、テレワークは場所や時間に縛られない自由な働き方が可能です。そのため、これまでと同じ組織やチームの管理方法では対応が難しくなってきています。具体的には、正確な労働時間の把握や、就業状況の把握が困難になるため、長時間労働にならないように、また生産性が下がらないように対策が必要です。勤怠管理ツールの導入や、メールやチャットでの報告をしっかりとルール化しておく必要があります。

コミュニケーション不足

従業員同士が対面で、仕事の話や雑談をする機会が一気に減ったことで、コミュニケーション不足が深刻な問題となっています。コミュニケーション不足によって従業員を孤立させてしまい、モチベーションや生産性の低下の原因となってしまいます。最悪の場合、離職へとつながってしまう可能性もあります。チャットツールやWeb会議システムなどの、オンラインコミュニケーション用のツールを積極的に導入して、コミュニケーションを活性化させましょう。新人の頃に教わった、報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)が必要なのはテレワークにおいても同じです。

自己管理(セルフマネジメント)とは?(大きくは4種類)

みなさんは「自己管理が出来ている人」と言われて、どんな人を想像しますか?
ビジネスパーソンにとっての自己管理能力と言えば、一般的には「時間管理」「体調管理」「感情の管理」「モチベーション管理」の4つを指して呼ばれることが多いです。それぞれひとつずつ具体的にみていきましょう。何が出来て、何が出来ていないか、自分でもチェックしながら確認してみて下さい。

時間管理

誰でもみんな平等に与えられているのが、1日24時間という時間。この限られた時間をちゃんと管理して、いかに無駄なく有効活用出来るかどうかで人生が大きく変わってきます。当然ですが、1日24時間という時間を増やすことは出来ません。変える(コントロールする)のは自分の行動です。効果的に自分の時間を管理することが出来れば、生産性が向上し、高い成果を出せるようになります。
例えば、在宅勤務では通勤がなくなるので、その分時間に余裕が出来ます。その毎日の空いた時間を読書や勉強に使う人と、ダラダラと無駄に過ごす人とでは当然大きく差が出ます。「仕事が終わらない・・・」と嘆いている人の多くは、時間やスケジュールの管理が苦手な人が殆どです。

今後はひとつの企業にとらわれない「パラレルワーク」「パラレルキャリア」と呼ばれるような、複数の仕事をするのが当たり前の社会になっていくと言われています。しっかりとタイムマネジメントのスキルを身に付けておかないと、新しい仕事をする時間を作れずに、社会の流れから取り残されてしまうリスクがあります。

体調管理

セルフマネジメントの基本は「体調管理」と言われています。身体の管理が出来ない人は、自己管理能力が低いと評価されてしまいます。体調管理において、普段から気を付けないといけないことは色々とありますが、大きくは「適度な運動」「バランスの取れた食事」「十分な睡眠」の3つです。
これらは習慣にするまでが少し大変かもしれませんが、続けていれば確実に結果が出ます。初めてすぐは変化がなくても気にする必要はありません。大事なのは続けること、習慣にしてしまうことです。継続していれば、体型にも変化があり、疲れづらくなり、睡眠状態も良くなります。少し前に「健康経営」という言葉が流行りましたが、耳にしたことがある人も多いでしょう。何事も身体が資本「体調管理も仕事のうち」です。運動、食事、睡眠のバランスに気を付けて、しっかりと体調管理しましょう。

感情の管理

仕事で何かミスをしてしまったときに、「自分は何をやってもダメだ」とネガティブに自分を責めるだけの人がいます。一方終わったミスだけのことを考えずに、次に活かそうとポジティブに考える人もいます。同じ経験をしてもその後の考え方の違いで、今後の行動や結果が大きく変わってきます。
感情の中でも「怒り」に関しての感情のコントロールを「アンガーマネジメント」と言います。「理不尽に怒られて、イライラしてやる気がなくなった。」「ついカッとなって部下を怒りすぎた。」怒りの感情をコントロールすることで、こういう状況を減らすことが出来ます。テレワークでひとりで作業をしていると、雑談をしてストレスを発散することが出来ません。イライラした気持ちを溜め込みがちになってしまいますが、深く息を吸って、ゆっくりと吐く。深呼吸するだけでも、リラックス効果はあります。感情をコントロールする技術を身に付ければ、精神面も安定し、ストレスにも強くなります。

モチベーション管理

皆さんは「セルフモチベーション」という言葉をご存知でしょうか?自分自身のモチベーションを自ら向上させることをセルフモチベーションと言います。モチベーションの高さは、仕事のパフォーマンスや生産性に大きく左右する要因の一つです。
モチベーションの上げ方は様々ですが、時間に対する意識を変えたり、適切な目標(ゴール)設定などが代表的です。セルフモチベーションのコントロールスキルを身に付けると、新しい資格取得に向けての勉強や、ダイエットなど業務以外でも凄く役に立ちます。書籍などで学習して、自分なりのモチベーションの上げ方、またそれを維持するスキルを身に付けておくことをお勧めします。
企業としても、従業員一人ひとりのモチベーションが上がれば組織の生産性の向上につながります。研修やセミナーで、自分自身でモチベーションを高める「内発的モチベーション」のスキルを習得させるように、積極的に取り組んでいくべきでしょう。

セルフマネジメント力を高める方法

これからのテレワーク時代に必須のスキルである「セルフマネジメント力」について書いてきました。自己管理が出来る人と出来ない人とでは生産性にも大きく差が出てしまいます。セルフマネジメントを実現させるためには、感情をコントロールしたり、タスク、スケジュールの管理能力を高めることが必要となります。どのようにして、セルフマネジメント力を高めていけば良いのか、具体的な方法を解説します。

集中できる環境づくり

テレワークをするうえで必ず必要なのが、集中して作業が出来る環境です。周りの騒音や、雑音が少ない、静かなプライベートスペースが自宅にあればベストです。しかし自宅に場所がなかったり、自宅だと落ち着かず集中できないといった場合は、カフェやコワーキングスペースなどの施設を利用しましょう。どんなに集中力がある人でも、騒がしい場所や誘惑が多い場所ではなかなか集中して仕事が出来ないと思います。社会情勢を鑑みて、今はカラオケボックスやファミリーレストランでも、テレワーク用のスペースを提供するサービスを始めています。

オンとオフの切り替え

筆者の周りにいる「生産性が高い」と思う人をみていると、みんな必ずと言って良いほどオンとオフの切り替えが上手です。テレワークでの作業は、会社と比べるとどうしても気が緩んでしまい、なかなかスイッチがオンにならない人も多いようです。対策として、例えば「自宅でも、部屋着ではなくキッチリとした服装に着替える。」「朝は少し早めに起きて、近所を散歩する。」など、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現のために、日ごろから意識をしてオンとオフの切り替えが出来るようにしておきましょう。

タスク管理を徹底

セルフマネジメント能力を高めるうえで、必須なスキルが「タスクマネジメント」です。作業や行動をタスク、Todoとしてリスト化し、やるべきことを洗い出して明確にしましょう。せっかくタスク化しても、予定通り完了しているかを日々チェックしないと意味がありません。PDCAサイクルでタスクをまわしていくと効果的です。
個人レベルで使うものであれば、無料のタスク管理ツールやスマホアプリも多く提供されているので、積極的に利用しましょう。プライオリティ(優先順位)を明確にして、タスクの「重要度」と「期限」を意識しながら実行することが、タスク管理を行ううえでの重要なポイントです。

目的や目標を明確にする

自己管理能力を高めるためには、意識を変える必要があります。その為にも、今やっている仕事や作業内容の目的を明確にすること、また目標を具体的に設定することが重要です。目標や目的が曖昧のままでは、日々の業務が惰性になってしまい、やる気も下がります。モチベーションを高く維持するためにも、ゴールを意識する必要があります。
また、作業の目的を明確にすることで、次に自分のやるべきことが見えてきます。

適度な運動

テレワークのデメリットとしてよくあげられるのが、運動不足です。身体を動かすことと、仕事の効率とはあまり関係ないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。激しい運動でなくても、たった3分~5分程度身体を動かせば脳もリフレッシュし、眠気も覚めます。モチベーションや生産性にも大きく関わってくるので、短時間でリフレッシュする方法を知っておくことは凄く大事なことです。また、適度な運動を行うことで、睡眠の質を高めることが出来ます。日ごろからストレッチや、軽く身体を動かす習慣を身につけておきましょう。

コワーキングスペースや静かなカフェなどを利用する

自宅では仕事モードにならず、自己管理が難しいという人も多いのではないでしょうか。前述した「集中できる環境作り」「オンとオフの切り替え」どちらにも有効なのが、会社でも自宅でもない外のワークスペースの利用です。
コワーキングスペースには快適にテレワークが出来る環境が整っています。また、静かなカフェやシェアオフィスもテレワークの定番のワークスペースです。筆者もコワーキングスペースを利用していますが、適度な緊張感がある方が集中力も高まるようで、リラックスし過ぎる自宅と比べて、かなり作業が捗ります。

ONthe UMEDA(集中力アップ!仕事が捗るコワーキングスペース)

新型コロナウイルスの影響でテレワークが広く普及しました。アフターコロナの社会でもオフィスの分散化など、柔軟性のある働き方が求められると予想されます。今後は、自己管理が出来る人と出来ない人の落差がどんどん広がっていくでしょう。

大阪・梅田駅から徒歩5分、ホワイティうめだの一角にあるコワーキングスペース『ONthe UMEDA(オンザ ウメダ)』。

ONthe UMEDAでは、今回紹介したストレスやモチベーションのコントロール術を学ぶ講習や、その他さまざまなイベントや交流会を開催しています。興味のある方は、是非参加してみてください。

・ONthe UMEDAイベント・セミナー・交流会https://onthe.osaka/event

店舗情報

店名:ONthe UMEDA(オンザ ウメダ)
住所:大阪市北区曽根崎2-16-19 メッセージ梅田ビル 1階
アクセス:東梅田駅 1番出口 直結/梅田駅 徒歩5分
電話:06-4397-3135
営業時間:8:30~21:00(最終入館 20:30)
定休日:年末年始および年数回のメンテナンス日
HP:https://onthe.osaka/