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人を幸せにしたい。目の前のことを全力で。それはずっと変わりません

ONtheに関わる人々、利用する会員様にスポットを当ててその人生に迫るインタビュー特集「穏坐な人々」。今回は、現在4つの会社で取締役などを務め、先日は自身が支援する保護猫団体の譲渡展を、ここONtheで開催した松葉富美子さん。会社員時代は、まさに“モーレツ”な働き方で、全国でも女性ナンバーワン幹部だったという。底知れないパワーとバイタリティで、そこに関わる人を巻き込んでいく魅力を探るべく、お話を伺った。

インタビュアー / 上野優子

株式会社感動創造社 代表取締役 / EQI株式会社 取締役 / 株式会社Cure&Care TOMI 代表取締役 / とみ鍼灸治療院オーナー / LEXY L'AMOUR COO / つかねこ動物愛護環境福祉事業部 相談役 / メンタルカウンセラー / 松葉富美子
5年前に退職した、株式会社 第一興商では、女性幹部としてトップまで昇りつめ、現在は6つの肩書きと、保護猫団体の支援までその活動を広げるスーパーウーマン。この春には、友人によってまとめられた自伝が出版される。

この人の中心には、「正義」みたいなものがある気がする

「可愛いだけと思って近づくと、ケガしますわよ……!」

取材を終えての帰り道で、最初に浮かんだのがコレだった。松葉さんがもし、美少女戦隊もののヒロインだったら、きっと最後の決めゼリフはこれだ。

そんな妄想をしてしまうのは、彼女の真ん中にある、ある種の「正義」みたいなものを、ずっと感じていたような気がするから――。

取材当日、ひらりとしたワンピースで登場した松葉さんは、事前に知った複数の会社経営に関わるイメージとは違う、小柄の可愛らしい人だった。しかしこの後、その見た目とはギャップのあるエピソードの数々を、聞くことになるのだ。

自分を守るために、メンタルを鍛える必要があった会社員時代

前職の第一興商では、関西の管理業務全てと、人事の面接も全て担当し、忙しく各地を飛び回る日々だったという。

「実務トラブルの案件だけじゃなくて、行くたびに社員が抱える深刻な家庭問題まで面談で対応していました。久しぶりに訪ねる事業所だと、50対1の完全アウェイな状況で現場に入るので、そこで社員をまとめるには、心が強くないと、正直やっていけなかったんです」

今でこそアウェイも得意と笑うが、激務の松葉さんを支えたのが、現在の仕事にも繋がるメンタルトレーニングだった。自分が落ちないように保つには、自己メンテナンスが不可欠だったという。

「それに加えて経理や社労士なんかの勉強もしていたので、睡眠時間は3、4時間でした。他にも、営業マンが焦げ付かせた債権回収を担当していた時は、夜中の3時に、債務者から嫌がらせみたいに折り返しの電話がかかってきて。出ましたからね、『期日過ぎてますけど』って(笑)。

めちゃくちゃ働きました。ただひたすら目の前のことを、全力でやってきた感じです」と話す。

そして5年前、会社が代替わりするタイミングで退職し、ご主人の開業支援と自身のメンタルカウンセラーの仕事を立ち上げる。

「休日にはクッキーを焼いたり…」のようなお顔ですが、債権回収のキツイ話をしています。

感動創造社は「宝箱」

「元々、その人の持つ良い所に目がいくんです。だから人と人を繋ぐのが得意で、どこに行ってもメンバーを増やしていくタイプ(笑)。私が動くと人も一緒に動くので、いつも数十人のコミュニティが周りにある感じなんです」

これが松葉さんの巻き込み力のようだ。そして、人を繋ぐ活動や応援などを個人で続けるうちに周囲から勧められ、代表を務める「感動創造社」を誕生させた。ワクワクと楽しいが詰まった「宝箱」みたいな会社、と松葉さんは表現する。

先日、ONtheで開催された保護猫の譲渡展でも、その巻き込み力が発揮された。施設に動物を入れる会場の許可から、広報、協賛企業まで、多くの協力と人が呼び込まれ、譲渡展は大成功に終わった。

自分でも保護施設をつくりたい

保護活動を支援するきっかけは、自宅に迎えた二匹の保護猫の存在。特にスフレちゃんは、保護猫団体「つかねこ動物愛護環境福祉事業部」さんの手により、悲惨な多頭飼育崩壊の現場から救出された経緯がある。今あるスフレとの幸せな暮らし、その出会いに対する「恩返し」の気持ちで、松葉さんは支援をしているという。

「保護活動というのは、正直費用もかかります。ワクワクする気持ちも大切なんですが、私の支援は、楽しいだけのフワッとした感じでもなくて、20年間やってきたビジネスと同じ感覚なんです。

つかねこスタッフさんは常に保護活動に忙しいので、仕組みづくりや応援者を増やしたいです。資金の心配はさせたくないので、自分がいつまでもめっちゃ働かないといけないんですけど(笑)。

でも使う目的があるからこそ、寝ずの思いで働けるというか。将来はピースワンコさん(※)みたいな施設を作りたいと思っています」

※ピースワンコ・ジャパン…広島で発足した、犬の殺処分ゼロを目指して保護や譲渡活動をする団体。

松葉さんのお話の中には、“自分が働く”というワードがよく出てくる。人を応援したい、誰かの役に立ちたいを実践するには、それが大前提だと言うのだ。

カッコいい……この時、思わず口から出てしまった(笑)。さらに、私も何かやらないと! いつの間にか自分がそんな気持ちになっていることにも気づく。

これは私も、巻き込まれ始めている……!?

ONtheは空間もスタッフさんもナチュラルテイスト。ほっこり感がお気に入りです

ONtheでのお気に入りの場所で

日々、目の前のことに全力で取り組む中で、一息ついたり、未来のことを描くためのカフェ時間を、会社員時代から大事にしてきた松葉さん。ONtheについては、

「ホッとできる場を提供しながらも、会議の人数が急遽増えた時には、素早い対応をしてくれたり。前まではホテルのラウンジなんかも使っていましたが、今では打ち合わせはONtheですね。アクセスもいいしパーフェクト!」と太鼓判なのだ。

特にお気に入りのポイントは、ご主人と過ごす自宅のような、ほっこりした場の空気感だとか。そこでご主人のことをお聞きすると、「優しくて、私の充電器みたいな人です」とにっこり。「二匹の猫ちゃんと共に、元気と癒しの源ですね」と、これまでとはまた違った表情で話されたのが、印象的だった。

春には自伝が出版

現在は、前職での手腕と信用を買われ、数百の世界特許を取得した美容液【LEXY L’AMOUR】レクシーラムーアのブランドを立ち上げ、世界展開にも邁進する日々。そしてやはり、人の役に立ちたいという思いは常にある。

「自分も一生懸命働いて、頑張ってる人を応援したいんです。それでその人が波に乗れたら『私にも、その夢一緒に追わしてね!』って。そういうの、ワクワクするでしょ」

もう、今ナニワの社長を取材してる? と思うほど、パワフルな話が止まらないのだ。

そして、そんな松葉さんの、見た目とのギャップと魅力に気付いた、プロデューサー目線の斬新な友人が、この春に彼女の自伝を出版する。「トミちゃん面白いわ~」そう言って彼女の本を書いたとのこと。かなり面白いという触れ込みだ。

でもライターとして、書きたくなるのはわかる気がする。いかにして松葉富美子という人が出来上がったのか……紐解きたくなる魅力が、彼女には多分にあるから。

いま頑張っているあなたへ

最後に「何か伝えておきたい事とか無いですか?」と聞いた後、一旦カメラ撮影の別の話になり、取材が終了しかけたところに「伝えたいことはね」と戻って来られた。その間ずっと考えて下さっていたのだ。

「あのね、」と一呼吸おいてから、

「夢を持って叶えるまでの間も、すでに幸せだということ。夢につながっているから、今を楽しんで欲しいんです。

まだ叶っていないから不幸だ、じゃなくて、やりたくない事の中にも宝があるから、途中で起こることに一喜一憂しないで欲しい。

歩いて行くその一歩一歩が、黄金の橋を渡っていると思って、“今ここ”を頑張って」

まるで目の前に、いま悩んでいる誰かがいるかのように熱く話す。

これは、ご自身を叩き上げだと言い、同じ橋を渡って今に辿り着いた松葉さんから、今何かに向かって頑張っているあなたへの、メッセージ。

きっとこうやって、今までもたくさんの人を元気づけながら、歩んで来られたのだろうと思いながら聞いていた。

どこまでも真っすぐで、人の役に立てることが喜び。松葉さんはそんな人でした。

編集後記

ONtheのことや将来のことを話している時、お茶目な野望を聞いてしまった。でもこれはオフレコらしいので、私と松葉さんの二人の秘密。(ちょっとうれしい)

遠くから見ていて、もしそれが果たされたのを目撃したら「姐さん、やりましたね」とニヤリとすることにしよう(笑)。

こうやってみんな彼女のファンになるんだろうなあ。そしてふと考えた。「もし松葉さんが男性だったら……」と。アカン。絶対ワタシ、惚れてしまうわ。

(文:上野優子、写真:今井剛)