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幸せの「自分軸」を共に描く ─ 「自分らしさ」の先に見つける、人生のパートナー

インタビュアー / 鶴野 ふみ

結婚カウンセラー / 進藤 愛架
3人の子育てを経て、保険代理店でのパート勤務をきっかけに結婚相談所の仕事と出会う。2021年、「結婚相談所loveridge(ラバリッジ)」を開業。「否定しない」を土台に“自分軸”を大切にする独自のカウンセリングで多くのご縁をつないでいる。

イメージが180度変わった、幸せな「ご縁」の現場

——進藤さんは、もともとは3人のお子さんを育てる主婦をされていたそうですね。

はい。一番下の子どもが幼稚園に上がったタイミングで、何か仕事を始めようと思って保険代理店でパートを始めました。そこで出会った方が結婚相談所を立ち上げることになり、そのお手伝いをお願いされたのが始まりでした。

——最初から、この仕事に惹かれていたんですか?

いえ、正直に言うと、かなり疑っていました(笑)。どこか怪しいというか、「いいから一回会ってみなさい!」って無理やりくっつけちゃうお節介な仲人さんみたいなイメージがあって。

でも、実際は全く違いました。20代から60代まで、本当に幅広い年齢層の、それもすごく魅力的な方々が、それぞれの人生のために、将来のパートナーを真剣に探している。そのひたむきな姿に「なんてすごい世界なんだろう」と、心を打たれたんです。

——そこからご自身での開業に繋がるまでには、どのような後押しがあったのですか?

私が楽しそうに仕事をしているのを見て、夫がいきなり「俺もやりたい」と言い出して(笑)。結婚相談所の加盟の手続きを済ませてしまったんですよ。でも、いざ本格的な研修が始まると、「これ、ちょっと代わりに行ってきてくれる?」って私に振ってきたんです。

代わりに渋々研修に出席したのですが、そこで仕組みやプロセスを学ぶうちに、不思議と心の底から納得感があったんです。「あ、これ、私が今まで生きてきて大切にしてきたことが全部詰まってる。私がやるやつじゃん」って。

夫の突拍子もない行動がきっかけでしたが、私の内側にあった「誰かの人生を支えたい、背中を押したい」という気持ちがすっと重なりました。

あとから聞くと夫自身は相談所をやるつもりはなく、はじめから私がすれば良いと思っていたそうです(笑)。

「否定しない」ことから始まる、自分との対話

——進藤さんが代表を務めるラバリッジでは、「否定しない」ということに重点を置かれているそうですね。

本音を言えない不安を、誰もが抱えている時代です。だからこそ、“自分の気持ちを丁寧に言葉にできる場”をつくることを、何より大切にしています。

婚活をしていると、「こんな条件を言ったら怒られるんじゃないか」とか「高望みだと思われるかも」と、自分の本音に蓋をしてしまう方がとても多いんです。でも私は、その方がお相手に求めることに「良い」も「悪い」もないと思っています。

「なぜその条件にこだわるのか」と理由を深く掘り下げていくと、その方が人生で一番大切にしたい価値観が見えてきます。だから、どんな理想を語ってもいいし、自分でもわがままだと思うような本音を漏らしてもいい。まずはジャッジせずに全部吐き出してもらう。そして、その方の気持ちを何より大切にして進めていきたいんです。

——自分の本当の気持ちを、まずは自分自身が認めてあげる。それが、進藤さんの仰る「自分軸」を深く知ることに繋がっていくのでしょうか。

そうですね。今の世の中、離婚も珍しくありませんが、その一方でずっと仲良く寄り添い合っているご夫婦もたくさんいます。その違いはどこにあるのか。

私は、コミュニケーションの取り方、そして何より「自分も無理をしないし、我慢もしない。相手にも我慢をさせない」という、お互いの自律したあり方だと思っています。

そんな想いから「自分軸」を大切にしましょうとお伝えしています。まずは自分が何を大切にしているか、何に幸せを感じるのかを知る。結局のところ、機嫌良くいることって、自分の責任だと思うんです。

誰かに幸せにしてもらうのを待つのではなく、自分で自分を満たしてあげる。それがすべての源です。まず自分を深く知り、自分軸をしっかり持つ。そこから始まる自分との対話こそが、人生を共に歩むパートナーと出会うための、一番の近道なのだと感じています。

共に悩み、共に立ち上がる「伴走者」

——実際のエピソードで、特に心に残っていることはありますか?

真剣にお付き合いしているカップルで、男性側がなかなかプロポーズに踏み込めなかったケースがありました。女性の方からは「どうなっているの?」という不安な声が届くし、でも男性は「まだ考えたい」と仰る。仲介する立場としては、本当にどうすればいいのかと頭を悩ませました。

——板挟みの状態ですね。でも、進藤さんが男性に「早くしなさい」と急かすわけにもいかない。

そうなんです。無理にプロポーズしたところで、その後の幸せには繋がりませんから。だから、彼とじっくり向き合いました。家族のことや過去の経験、今、何を不安に思っているのか。絡まった糸を解くように、一つずつお話を聴いて、不安の正体を一緒に解消していきました。

最終的には女性側が、冗談めかして「私みたいにいい子、もう二度と現れないよ!」って言ったんです(笑)。その言葉に彼が「確かにそうだ」と背中を押されたようで、ついに決断されました。最後は笑い話のようになりましたが、それまでは「どうなるんだろう」と私もずっとハラハラし通しで……。

——そんな時でも、進藤さんは「決めるのは本人」というスタンスを崩さないんですね。

はい。私は、ぐいぐい引っ張るのではなく、隣にいる「伴走者」です。私が無理に手を引いて連れて行くのではなく、会員様がご自身の力で一歩を踏み出すまで、横で一緒に悩み、待つ。

もちろん、すべてが順調にいくわけではありません。残念ながら交際が終了してしまうこともあります。そんな時、私は会員様と同じくらい、あるいはそれ以上に落ち込んでしまうんです。「何が悪かったんだろう」って。

ただ、カウンセラーの私がずっと座り込んでいるわけにはいきません。一旦悲しみを共有した後は、私が誰よりも先に立ち上がる。そして「じゃあ、次どうしようか」と前を向く。

引っ張るのではなく、横にいて、転んだら一緒に痛がって、でも先に立ち上がって手を差し伸べる。そんな存在でありたいと思っています。

ONthe UMEDAでオンとオフを切り替える

——進藤さんは、ONthe UMEDAを拠点の一つとして活用されていますね。

はい。主に個室を、対面やオンラインのカウンセリングに使っています。実は以前、カフェで面談をしていた時期もあったのですが、どうしても周りの目が気になって本音が話しづらかったり、場所を確保するのに手間取ったりして……。

——相談所の面談だと、プライバシーや落ち着ける環境は不可欠ですね。

本当にそうなんです。ここは天井が高くて開放的ですし、内装もすごくおしゃれ。個室も落ち着いた雰囲気で、私自身はもちろん、来られた会員様も「わあ、素敵な場所ですね」って、パッと気分が上がるのが分かるんです。

あとは、ここに来ることで私自身の「仕事のスイッチ」が確実に入りますね。時間が効率的に使えるのはもちろんですが、何より私自身が楽しみながら仕事ができているな、と実感できる場所です。

一人ひとりに寄り添い、幸せな人生のスタートラインを支え続ける

——最後に、進藤さんがこれから描いていきたい未来について教えてください。

もちろん、これからも目の前の一人ひとりに寄り添い、幸せなカップルを増やしていきたいです。

ありがたいことに、今では多くの方に選んでいただける相談所になりましたが、私一人が直接お世話できる数には、どうしても限りがあります。

そこで、これまで大切にしてきた「自分軸」を整えるアプローチや、否定しないカウンセリングのやり方を、他の結婚相談所の方々にも伝えていきたいな、と考えています。

同じ志を持つ仲間にこの考え方を共有できれば、世の中に幸せなカップルは絶対に増えるはず。それが、巡り巡ってより良い社会をつくることに繋がると信じています。

編集後記

進藤さんと同じように、結婚相談所に対して少しネガティブなイメージを抱いていましたが、その印象が大きく覆されました。

印象的だったのは、進藤さんの「否定しない」という徹底した姿勢と、伴走者としての深いケア。進藤さんと向き合う時間は、単なるお相手探しではなく、自分自身の本音を見つめ直し、これまでの歩みを振り返る貴重な機会になるのだと感じました。

「自分軸」を知り、自分を自分で満たし、機嫌良く、自律して生きていくことは結婚だけでなく、これからの人生を豊かにするために、誰にとっても必要なこと。

成婚して退所された後も、多くのご夫婦から頻繁に近況報告が届くのは、進藤さんが単なる「担当者」ではなく、一人の人間として、彼らの人生に誠実に向き合い続けてきた証なのだと思います。

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(文:鶴野 ふみ、写真:中山 雄治)