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英語とゴルフで人をつなぐ — 言葉の壁を越えて広がる学びの場

ONtheに関わる人々、利用する会員様にスポットを当ててその人生に迫るインタビュー特集「穏坐な人々」。今回お話を伺ったのは、英語教室を主宰しながら、ゴルフレッスンや英語ティーパーティーなど、語学と人との出会いをつなげる活動を続けるシェリル・ハセガワさんです。ONtheを拠点に広がる学びと交流の場づくり、そしてその原動力となる想いに迫りました。

インタビュアー / いまいごう

M&S English Language Center代表/First Time Golf 広報担当 / シェリル・ハセガワ
フィリピン出身。来日して18年、日本人の夫と19歳の息子を持つ母。英語教育に10年以上携わり、現在は英語教室「M&S English Language Center」を主宰するかたわら、ゴルフスクール「First Time Golf」の広報としても活動。英語ティーパーティーなど、語学と人をつなぐユニークなイベントを多数企画・運営中。

英語は、ただの“スキル”ではない。
人と人をつなぎ、世界を広げてくれる「きっかけ」だ。

ゴルフの現場から生まれたユニークな英語教育のスタイルで、多くの人の心を動かしてきたシェリル・ハセガワさん。
彼女の活動は、学びの楽しさと、人との出会いの価値をあらためて思い出させてくれる。

「教えること」は、ゴルフ場から始まった

「間違えてもいい。大切なのは“話そう”と思えること」

シェリル・ハセガワさんは、フィリピン出身。18年前に来日し、日本での生活をスタートさせた。現在は、大阪を拠点に、英語教育とゴルフ普及の両面で活躍している。

「最初は、ゴルフ場で広報として働いていました。初心者向けのレッスンをしているときに、お客様から“英語を教えてほしい”と言われることが増えてきて。じゃあ、せっかくだしやってみよう!と始めたのが、今につながっています」

「英語はただ話せればいいものじゃない」とシェリルさんは続ける。
「気持ちが伝わることが何より大事。完璧を目指すより、“伝えたい”という気持ちを育てたいんです」
その言葉どおり、彼女のレッスンでは笑い声が絶えない。間違えてもいい、恥ずかしがらなくていい、そんな空気が教室を包んでいる。

コロナ禍での変化、そして再出発

「英語は“話してみる”ことがいちばんの練習。笑顔で学べる環境づくりを大切にしています」

彼女が立ち上げた英語教室は、当初は「MizShe English Language School」という名前で運営されていた。
しかし、コロナ禍で対面授業が難しくなったことを受けて、急遽オンラインに切り替え、Google Classroomなどを使ってデジタル対応を進めた。

そして社会が落ち着きを取り戻した頃、活動拠点をONthe UMEDAに移し、スクール名も新たに「M&S English Language Center」として再スタートを切る。

「ONthe UMEDAは、学ぶ人も教える人もリラックスできて、エネルギーが湧いてくる場所。とても気に入っています」

ゴルフ×英語=英語ティーパーティーという新しい発想

「英語もゴルフも“相手思いやる”ことから始まります」

ゴルフと英語、一見すると全く異なる分野のように思えるこの2つを、シェリルさんは見事に組み合わせている。

「ゴルフの後に少し休憩する時間ってありますよね。その時間を使って、英語でおしゃべりしてみようと“English Tea Party”を始めました。ビジネスの話をしながらリラックスして英語に触れる、そんな場です」

彼女が提供するのは、英語の「知識」ではなく、英語を「実際に使う機会」だ。
参加者は、習ったフレーズをその場で実践しながら、お互いに自己紹介をしたり、近況を話したりする。まさに「Learning by Doing(やって学ぶ)」の体現だ。

この発想の背景には、「英語を学びたいけど教室はハードルが高い」と感じる人への配慮がある。
「楽しみながら学ぶのが一番。場所もカジュアルで、お茶やお菓子を囲みながらなら、自然と会話もはずみます」

English Tea Partyで「実践的な自己紹介」を楽しく学ぶ

ONthe UMEDAで開催されたEnglish Tea Party。お茶を飲みながら自然に英語が身につく人気イベント。

例えば、定期開催されている English Tea Party では、「英語での自己紹介」に焦点を当てる。
会場はONthe UMEDA。軽食とドリンク付きで、20名限定のアットホームな雰囲気で開催される。

レッスンはまず日本語の自己紹介からスタートし、講師によるフォーマルな英語表現の解説を経て、参加者同士で英語による自己紹介を実践する。
「英語に自信がない方でも安心してご参加いただけます」という言葉どおり、初心者への配慮も万全。

ビジネスシーンで役立つ丁寧な表現を身につけたい方、英語での第一印象を良くしたい方にはぴったりの内容だ。

「正しく話すことより、“伝える”ことを楽しんでほしい」とシェリルさん。
学ぶことに苦手意識がある人ほど、彼女のレッスンで「やってみよう」という気持ちになれるようだ。

日本と世界をつなぐ「ことばの力」

「日本には素晴らしい技術や知識がたくさんある。でも、英語ができないことで、それを伝えきれていないのはもったいないです」

そう語るシェリルさんは、英語を通じて日本の人々が世界に自信を持って羽ばたいていく未来を思い描いている。

「若い人にも、大人の方にも、英語の大切さに気づいてほしい。私はこれからも教え続けますし、新しい人との出会いもどんどん作っていきたいです」

ONthe UMEDAがくれた「つながり」と「場所」

「ONtheは、学ぶ人・教える人が自然と出会える場所。ここでたくさんのことが生まれています」

取材中、「ONthe UMEDA」への愛着を話してくれたシェリルさん。
ここは彼女にとって、単なるレンタルスペースではない。「仲間と出会える場所」「一緒に成長できる場所」なのだ。

「みんなと話していると、自然と新しいアイデアが生まれるんです」とシェリルさん。
ゴルフ、英語、イベント運営、そして人との出会い。ONthe UMEDAは、彼女の多彩な活動を支える“ベースキャンプ”のような存在だ。

告知:English Tea Party 開催のお知らせ

英語初心者からビジネスパーソンまで幅広く参加できます。
ONthe UMEDAの会員でなくても申し込めるオープンイベントなので、ぜひご参加ください。

日時:2025年9月14日(日)14:00〜17:00
会場:ONthe UMEDA
参加お申し込みはこちら

編集後記

取材中、シェリルさんの言葉には何度も「つながる」「共有する」といったフレーズが出てきました。
彼女にとって英語は、単なる言語ではなく、人と人を結びつける“架け橋”のような存在なのだと感じます。

ゴルフというフィールドから偶然始まった英語レッスンも、今では多くの参加者にとって、学びと出会いの大切な場になっています。
「学ぶことは楽しい」「失敗してもいい」「誰かと一緒ならできるかもしれない」——そんな前向きな空気が、シェリルさんの教室には自然と流れているようでした。

ONthe UMEDAという空間で、彼女がどんな新しいアイデアを形にしていくのか。
次のティーパーティーが、またどんな出会いを生むのか。今から楽しみでなりません。

(取材・文・写真/今井剛)