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これまで培ってきた”話すこと”を伝え、自分に自信を持てる手助けがしたい

ONtheに関わる人々、利用する会員様にスポットを当ててその人生に迫るインタビュー特集「穏坐な人々」。今回お話を伺ったのは、フリーアナウンサーの経験を生かし、伝わる話し方を教える「スピーチコンサルタント」として活躍されている船越美夏さんです。アナウンサーへの思いやスピーチコンサルタントで起業した経緯について、詳しくお話を伺いました。

インタビュアー / 知院 ゆじ

スピーチコンサルタント・フリーアナウンサー / 船越 美夏
大学卒業後、フリーアナウンサーとしてテレビやラジオでレギュラー番組を持つ。その後、人前で話す機会が多い経営者やビジネスマンに向けて、伝わる話し方のコンサルティングを行う「スピーチコンサルタント」として起業、”話すこと”に悩まれる方へ向けたセミナーや研修を精力的に実施している。

フリーアナウンサーの経験からスピーチコンサルタントへ

「私、内緒話ができないんですよ」

透きとおったハリのある声で、屈託なく話す船越さん。フリーアナウンサーの経験を生かし、人前で話す機会の多い経営者やビジネスパーソンに向けて、伝わる話し方を教える『スピーチコンサルタント』として幅広く活躍されている。

「無意識に声を張ることが定着してしまって。声が目立ってしまうので、どこへ行っても一人で話しているように思われるんです」

小さな声で話しているつもりでも、テンションが上がると自然に声を張ってしまうそうだ。

音読を褒められたのがきっかけでアナウンサーの道へ

現在は人前で話すことを仕事としている船越さんだが、子どもの頃は消極的な性格だったと話す。

「引っ込み思案な性格でしたが、国語の本読みは小さな頃から好きで。先生から音読を褒めてもらったのをきっかけに、小学校5年生で放送委員会に入ったんです。そのとき、はじめてマイク越しで自分の声を聞いて、自己表現の楽しさを知りました」

表現の楽しさを追求すべく中学校では演劇部に入部、高校生の頃には「将来はアナウンサーになろう」と明確に考えていたそうだ。

「アナウンスを専門的に学べるところへ進みたいと考えていましたが、当時そういった施設はまだなくて。大学に行ってもアナウンサーは目指せると先生に言われて、アナウンサーとまったく関係のない大学へ進学しました」

アナウンサーになりたい熱意はあるが、いざ就職となるとなかなかうまく進まない。「話す仕事ならなんでもいい」と、卒業後は鉄道会社の総合案内所へ就職する。働きながらアナウンサー養成スクールへ通い、1年後に晴れてアナウンサーの事務所へ所属することとなった。

「事務所へ所属した当初は、キャラクターショーや商店街の呼び込みといった仕事からスタートしました。現場は結構スパルタで、よく怒られていましたね」

多くの現場で下積みを重ね、ラジオやテレビのオーディションに受かるようになりレギュラー番組を持つようになったが、妊娠・出産を機にすべて降板することとなる。

社会のお役に立てるのは“話すこと”しかない

これまで、積極的に仕事を取るべくまい進してきた船越さん。育児のために降板してから、思うように仕事のできない状況が続く。

「家庭に引きこもることができない性格というか。これまでずっと社会とつながってきたのに、唯一の社会とのつながりがスーパーで買い物をするときといった生活に悶々としていました。2人の子どもがまだ小さかったので、事務所から声がかかればスポットで細々と仕事をするくらいしかできなかったんです」

しかし、離婚することとなり状況は一変する。

「子どもたちを経済的に支えていくのに、一抹の不安を持っていました。企業で働いた経験がないため今さら正社員で働くのも難しそうだし、パートを掛け持ちしたところで稼げる金額の上限は見えている。そんなとき、同じアナウンサー事務所にいた友人が別の仕事で起業して活躍しているのを知ったんです」

当時は美容関係の仕事をしていたが、友人の姿に刺激を受けて自分のスキルを武器にビジネスを始めようと思い立った。

「自分はこれまで話すことしかしてきていないし、20代30代は徹底してそこに向き合ってきた。そんな経験から、私にできるのは人前で話すのに困っている方へのサポートではないか、と考えて『スピーチコンサルタント』として起業しました」

”話すこと”に悩む人がこれほどいるとは知らなかった

船越さんのコンサルティングやセミナーを受けた方は、これまで約1,200人にのぼる。スピーチコンサルタントとしてサポートするのは、一言でいえば「話すこと全般」。その内容は、非常に多岐にわたる。

「人前で挨拶やプレゼンする機会の多い方に対して、スピーチのトレーニングやセミナー内容の構成、話し方のコツなどを教えています。意外なところでは、日本人通訳の方へ向けた日本語表現の教育というのもあります。海外に長期間住んでいると日本語がおぼつかなくなって、適切な表現や敬語を忘れてしまうらしいんですね。そういった方へ向けて、日本語でうまくスピーチできるようにトレーニングする仕事もしています」

要望さえあれば、お手伝いできそうな依頼であれば基本的に断らない。

「対応できそうな仕事はすべて受けているので、どんどん内容が広がってきました。みんなからは『もう少し絞った方がいいんじゃない?』と言われています」

人前で話すのが苦手な方は意外と多い。船越さんがそれに気づいたのは、大人になってからだという。

「人前に出たくないとか、緊張するからイヤだという方は多くて、人前で話すのが好きですという方はそれほどいない。自分が好きで続けてきた“話すこと”を、やりたくないと思っている人はこんなにいるんだと衝撃を受けました」

人前で話せるようになると自信がついて、何にでもチャレンジできるようになったという受講生の声を聞いたとき、話すことを教えているのではないのだと気づいたそうだ。

「来られた当初は不安な顔をしていても、ある程度話せるようになると自信に満ちあふれた顔つきに変わってくる。“話すこと”を通じて、自信を持ってもらうために私はお手伝いしているんだなと気づきました。

話すのが本当に苦手で何を話せばよいかわからないという受講生の方が『船越さんのおかげで、人前で話す際の苦痛がなくなった、今後は楽しいと思えるところまでレッスンを重ねたい』とおっしゃってくださったんです。自信がついた喜びを本人が言葉にしてくださると、やっていてよかったなと実感できますね」

ONthe UMEDAはきれいで使いやすく重宝している

梅田近辺で使い勝手の良いコワーキングスペースを探している中で、ONthe UMEDAを見つけ、お客さまとの打ち合わせやレッスン、移動の合間での事務作業でも利用しているという。

「自宅が尼崎なので梅田は通過点になりますし、お客さまと会うときも雨に濡れずに来ていただける。JR・地下鉄・阪神・阪急と、鉄道からのアクセスが抜群にいいのが、私にとっては非常にありがたいです。説明を受けて、すぐに利用を決めました」

居心地の良さも、ONthe UMEDAの利用を決めた要因だそうだ。

「いつ来てもきれいで、気持ちよく利用できています。会議室やセミナールームも使いやすいです。近場のお店がいっぱいで入れないときも、カフェ代わりに利用もできる。万が一ONthe UMEDAがなくなってしまうと、本当に困ってしまいますね……」

ONthe UMEDAにて、今後交流会やセミナーを開催していくとのことなので、今後ともぜひチェックしていただきたい。

自分が充実していないと社会に恩返しできない

これまで個人向けをメインとしてきたが、今後は企業向けのセミナーや研修にも積極的に取り組んでいきたいと語る。

「現在企画しているのは、歯科衛生士や歯科助手といった方向けのコミュニケーション研修です。歯科関係の接遇に特化したマナー研修はありますが、適切な敬語や電話の取り方といった丁寧すぎる受け答えは、じつは現場でそれほど求められていない。またここに来てずっとお世話になりたいと思ってもらえるような雰囲気作りや、保険外治療を提案できるプレゼン能力にこそ、研修のニーズがあるんです」

そういったニーズをくみ取るのも、これまで培ってきた人脈のなせる技だ。

「ありがたいことに、マナーでもなく接遇でもない、私のオリジナルとして出せるものがあればぜひ研修に来てほしいと言ってくださる方は多くいらっしゃいます。考えることがいっぱいありすぎて、頭が追いついていない状況ですね」

船越さんのセミナーや研修で大切にしているのは、自信をつけてもらうこと。自分の人生が充実していないと、そこにフォーカスできないと考えている。

「セミナーに来ている人は、自分自身ができていないところばかり見ている。そうなると、不安や心配しか生まれてこないものです。ですので、私は録音したものを聞いてもらいながら、これはすごいですよ、前回よりこんなふうにできていますよと、できたことを認めて伝えるようにしています。そういう経験を少しずつ積み重ねていくと、必ず変わっていきます。

最初は、子どもたちのために何とかしなくてはという思いで起業しました。現在は、自分の好きなことを仕事にできているので楽しんでやっているんですけど、今後は私を支えてくださっている人や社会に対して仕事を通じて恩返ししたいと考えています。それを可能にするには、自分の人生をもっと充実させないといけない。そこのステージに向かって、これからも頑張っていきたいと思っています」

編集後記

私自身、声が通らないことに長年悩んでおり、会話中に聞き返されるのはしょっちゅうです。そこで、船越さんに話し方のポイントを聞いてみました。

「やっぱり声ですよね。ぼそぼそと小さな声で話す人の印象って、堂々としゃべる人とはならないと思うんですよ。話す内容以前に、声をまずしっかり出す。自分が思っている1.5倍の声を出すことで、悩みの7割ぐらいは解決できると思っています」

なるほど。

「メラビアンの法則というのがありまして、人の第一印象を決定づけるのは見た目が55%、話し方は38%のウェイトを占めています。まずそこをクリアしないと、話すら聞いてもらえない。それくらい、声の印象は大事なものです」

グサグサと心に刺さりました。これからは、1.5倍とはいわず2倍くらい声を張って生きていきたいと思います。

船越さんのセミナーにご興味をもたれた方は、こちらのサイトから確認できますので、ぜひご覧ください!

(執筆:知院 ゆじ、撮影:今井 剛)