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多様で明るい社会を作るため、アジアと日本を信頼でつなぐ

ONtheに関わる人々、利用する会員様にスポットを当ててその人生に迫るインタビュー特集「穏坐な人々」。今回のゲストは、株式会社reapleの代表取締役である小南美奈子さんです。会社の事業内容や遭遇してきた困難などを詳しく伺いました。

インタビュアー / 真田 あやこ

株式会社reaple 代表取締役 / 小南 美奈子
IT企業の調達部長、シニアディレクターを経て、2019年にビジネスパートナーと共に株式会社reapleを設立。日本企業へのフィリピン人やミャンマー人の紹介、フィリピン人エンジニアによるオフショア開発、日本企業の海外展開支援などを行っている。

未来と将来への貢献

『若者を採用したい日本企業と、日本で働きたい海外の若者をつなげることで、日本の未来とアジアの若者の将来に貢献したい。』
株式会社reaple(リープル)は、そんな思いから立ち上げられた。

新型コロナウイルスの影響でいろいろと困難はありましたが、柔軟に対応できたと自負しています。会社員時代から臨機応変に行動することを心掛けてきたのが幸いしました。」

会社設立から5年。難題を楽しんで乗り越えてきたと話してくれた小南さんは、強さとたくましさで溢れている。

日本と海外のINとOUTを支援

小南さんが代表取締役を務める『株式会社reaple』では、日本と海外の架け橋となる様々な事業を展開している。中でも常時稼働しているのは、オフショア開発(*1)の支援だと教えてくれた。

「フィリピンに住むITエンジニアでチームを作り、日本のIT会社のオフショア開発をしています。日本側では、当社のフィリピン人社員がチームリーダーとなり、日々のオンラインミーティングでマネジメントをしています。
そのほか活発に動いているのは職業紹介事業です。日本に住む外国人や日本で働きたいフィリピン人・ミャンマー人エンジニアを日本企業へ紹介しており、紹介後も日本で安心して長く働けるようにと、仕事の悩み相談などのサポートもしています。」

また、日本企業の海外展開も支援しているそうだ。

「日本の技術が開発途上国で活躍できるよう、ニーズを踏まえたサポートをしています。ご要望に応じて、JICA(*2)事業への応募のお手伝いもします。これまで、耐震塗料や危機管理情報システム(*3)など、災害に備えた技術をフィリピンで活かせるよう支援させていただきました。フィリピンは日本と同じような自然災害が多い国なので、日本の技術に期待が寄せられているんです。」

*1ある国の企業が、別の国の企業や個人に、自社のAI開発やweb開発などを委託すること。
*2日本の政府開発援助(ODA)を一元的に実施する機関として、開発途上国への国際協力を行っている。
*3災害発生時などの危機の際、様々な情報をWebによってリアルタイムで共有可能にするシステム。

フィリピン訪問が起業のきっかけ

以前はIT関連の企業に長く在籍していた、と小南さんは話す。

「子どもがいても勤めやすい制度がありましたし、働きがいのある仕事を任せてもらえていたこともあり、居心地がよい会社だったと思います。でも、会社員には定年があり、年齢というたったひとつの要素で終わってしまうことに抵抗がありました。」

自分のやりたいことを、やりたいだけ続けたいという希望があった。会社員になったときから、それがどうしたら実現できるかを考え続けてきた。
そんなとき、株式会社reapleを設立するに至ったきっかけに遭遇したという。

「2018年にフィリピンへ行く機会があり、フィリピンの大学をいくつか訪問しました。そこで、IT学部を卒業してもITエンジニアとして就職できない学生が多くいることを知り、日本のIT人材不足との差を痛切に感じました。
在籍していたIT企業では、常にエンジニア不足を実感していたので、この若いエンジニアたちこそ日本に必要だと思ったんです。」

新型コロナウイルスの打撃

会社を設立したのは2019年3月のこと。それから数か月後に新型コロナウイルスが大流行し、世界が混乱に包まれた。

「起業してすぐフィリピンのITエンジニアをご紹介するために、いろんな企業を回ったところ、『日本語レベルが高い人材に働いてほしい』というお声を多くいただきました。できるだけご要望にお応えしようと、フィリピンの大学や日本語学校と連携して日本語研修を実施することにしたんです。」

ところが研修開始から1週間後、現地から『ロックダウンになったので、教室で研修を続けることができない。』と連絡があったという。

現地の日本語学校のほうでは研修のために講師も雇用してくれていましたし、受講生の将来も考えると、絶対にやめることはできないとの思いでオンラインで続行することにしました。研修を受けていたのはIT学部卒業生だったので、すんなり移行できたのが救いですね。
みんな真面目にコツコツと日本語の勉強に取り組んでくれて、誰一人脱落することなく順調に学習が進み、そのときはほっとしました。」

日本語研修も終盤を迎え、エンジニアたちの来日が近づいてきた。しかし、日本では入国制限が設けられていたので、来日することができなかったそうだ。

「コロナの影響で日本の鎖国状態が長引き、研修が終わったのにフィリピンから日本に移動できなくなってしまったんです。3か月ぐらいで収まるかなーっと楽天的に考えていたのですが、甘かったですね。
どうしようもないので、仕事もオンラインですることに決め、オフショア開発のチームを作って対応することにしました。それが今につながっています。

去年やっとコロナの影響が収まってきて、経営のほうも落ち着いてきたところです。」

ONtheUMEDAは絶好の活動拠点

そんな株式会社reapleさんは、ONtheUMEDAを拠点に活動をしているという。

「ONtheUMEDAを本社として登記しています。
館内のデザインは地下鉄をイメージしていると伺っていますが、天井がアーチ状になっているのが素敵で、仕事をしていても気分が上がるんです。

立地的にも便利なので、お約束があればちょっと出かけて、戻ってきたらお茶をしたり仕事をしたりして、また出かけて、と効率よく活用しています。」

日本のIT人材不足解消のカギ

小南さんは最後に、これからのことを語ってくれた。

日本の人口が減少し、新卒の数がどんどん減ってきています。とくにIT人材はますます不足すると言われている(*)ので、これからも日本企業のIT人材需要は続くと思います。
対照的に、フィリピンなどではまだまだ国内にIT企業が少ないため、IT学部を卒業してもITエンジニアとして就職できない学生が多くいるので、日本の企業に海外人材をご紹介する機会をもっと増やしていきたいと考えています。

その中で障害となっているのは、言葉の壁だという。

「『日本のカルチャーが好き』『日本は安全だから』と理由は様々ですが、日本で働きたいと熱望する優秀な外国人は多くいるんです。そして、日本に来たばかりのとき、カタコトしか話せない、あるいはまったく話せなくても、1年2年と生活していれば問題なく話せるようになります。

しかし、『日本人の新卒のかわりに外国人を採用したい』という会社は、働き始めから『日本人と同じくらい日本語を話せる人』が希望だとおっしゃられます。日本国内では業種を問わず、社内やクライアントも含めて日本語だけで仕事をしていることがほとんどなので理解はするのですが…。

さすがにハードルが高いので、人材不足解消のためにも、日本のほうにももっと言葉の歩み寄りや、コミュニケーションをとる前向きな姿勢を大切にしてほしいと考えています。」

*【経済産業省】IT人材需給に関する調査

取材後記

小南さんが素敵なお写真を送ってくれました!(アニメグッズのお土産を広げている風景)

フィリピンの若者はNetflixで、日本のアニメを日本語音声と英語字幕で楽しんでいるそうです。小南さんは現地を訪問する際、『鬼滅の刃』『SPY×FAMILY』『黒子のバスケ』などとメモしたお土産リクエストを握りしめて、アニメイトに行くのだといいます。

また、日本で働く外国人へのサポートは手続きなどの事務的なことだけではなく、悩みを聞いたりアドバイスをしたりと、メンタルのフォローも大切にしていると話してくれたのが印象的でした
そんな小南さんなら、どんなことでも親身に相談に乗ってくれることは請け合いです!

海外人材を必要としている企業さんは、ぜひ「株式会社reaple」さんに問い合わせてみてください。

(写真:今井 剛)